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〇〇で空き家が生まれ変わった話

今日は、地方に行くとよく見かける「大きすぎる空き家」の問題に関する話です。

昔の農家や古い商家って、びっくりするほど大きいですよね。
部屋数が10個以上あったり、土間だけで現代の1LDK並みの広さがあったり。

こういう物件を見て「活用したい!」と思っても、現実的にはなかなか手が出せないのが正直なところです。
おまけに農地がついていたりするとハードルが一気に上がってしまいます。

ぼくの管理している物件にもまさにこういったお家があって、これまで何度も案内させていただきましたが、「広すぎる」「農地が負担だ」などといった理由でこれまで長い期間管理を続けていました

よくある「大きな空き家活用」のアドバイスって、実は大変すぎませんか?
「古民家を民宿に!」「シェアハウスとして活用!」「カフェやギャラリーに改装!」

こんなアドバイス、よく聞きますよね。確かに素敵だし、成功事例もあるでしょう。

でも、これらのアドバイスって、実際にやろうとするとかなりハードルが高いんです。

民宿なら旅館業法の許可が必要だし、改装費用だって数百万円、下手すれば千万円を超えることもあります。
シェアハウスにしても、水回りの増設や防火設備の整備で相当な投資が必要です。

ぼく自身、こういう相談を受けるたびに「確かにそうなんだけど…」と複雑な気持ちになることがあります。

理想と現実のギャップって、結構しんどいものですよね。

とはいえ、最近注目している活用方法があるんです。
それが「農福連携」です。

農福連携っていうのは、ものすごくざっくりいうと「農業と福祉を組み合わせた取り組み」のことです。
障がいのある方や高齢者の方が、農業を通じて社会参加や就労支援を受けられるような仕組みですね。

「なんだか複雑そう…」と思われるかもしれません。

でも実際は、大きな空き家の特徴にぴったりはまる活用方法なんです。

まず、農作業って基本的に屋外が中心ですから、建物の改装費用を最小限に抑えられます。
古い台所や土間は、収穫した野菜の洗浄や選別作業にそのまま使えることが多いです。

広い座敷は作業スペースや休憩場所として活用できるし、複数の部屋があることで、参加者のプライバシーも確保しやすいんです。

一般的な民宿やカフェと違って、農福連携には地域との連携が必要不可欠です。これって、実は大きなメリットなんです。

地元の農家さんとの協力関係ができれば、技術指導や販路の確保につながります。
近所の人たちも「福祉施設」というより「農業をやってる人たち」として受け入れやすいケースが多いようです。

ぼくが知っている事例では、最初は「なんだか分からない人たちが来た」と警戒されていた地域でも、収穫祭を一緒にやったり、地元の直売所で野菜を売るようになったりするうちに、自然と溶け込んでいったそうです。

「福祉っていうと、ボランティア精神じゃないと成り立たないんじゃない?」

そう思われるかもしれませんが、農福連携には国や自治体からの支援制度が結構充実しているんです。

就労継続支援事業所として認定を受けられれば、国からの給付費も受けられます。
農作業の指導や支援にかかる人件費の一部も、制度でカバーされることが多いです。

もちろん、すぐに大きな利益が出るわけではありません。
でも、初期投資を抑えながら持続可能な事業として成り立たせやすいのは確かです。

民宿やカフェだと「お客さんに満足してもらえるレベル」まで仕上げる必要がありますが、農福連携の場合はもう少し気楽です。

参加者の方々も「完璧なサービス」を求めているわけではなくて、「安心して作業できる場所」や「自分のペースで参加できる環境」を大切にしていることが多いんです。

古い建物の良さを活かしながら、必要最小限の改修で始められる。
これって、空き家活用を考える人にとって、すごく現実的な選択肢だと思うんです。

大きすぎる空き家って、確かに扱いにくいものです。
でも、その「大きさ」や「古さ」が逆に活かせる場面もあるんです

農福連携は、まだまだ知られていない活用方法かもしれません。
でも、地域の人たちと一緒に何かを育てていくプロセスって、空き家に新しい命を吹き込む素敵な方法だと思っています。

完璧な答えじゃないかもしれませんが、一つの可能性として考えてみてもらえたら嬉しいです。