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「不便」が「最高の体験」に?古民家ゲストハウスの新しい視点

「古民家ゲストハウスが、海外からの観光客、いわゆるインバウンドの方々に人気らしい」というニュースについて、ちょっと一緒に考えてみたいなって思います。

最近、テレビやネットでよく見かけませんか?「インバウンド客殺到!日本の”ホンモノ”体験を求めて地方へ!」みたいな見出し。

最近は東京や京都などといったメジャーな観光地だけでなく地方都市にも外国人観光客が興味をもっているって聞きますね。

確かに、ぼくの住んでいる四国でも外国人が歩き遍路をしている姿を見ることがふえましたね。

これは「なるほど、古い日本の家って海外の人には魅力的なんだな」とか、「これで地方も元気になるぞ!」って、なんとなくポジティブなイメージがありますよね。

でも、「穴場」を求めてるって、どういうことなんでしょう?

有名な観光地のピカピカなホテルじゃなくて、あえて古いお家を選ぶ。
それって、単に「珍しいから」だけなんでしょうか?

ぼくは、もしかしたら、彼らが求めているのって、ガイドブックに載ってる「ザ・観光地」とは違う、もっとこう、普段着の、ありのままの日本の空気感みたいなものなんじゃないかなって思うんです

とはいえ、「古民家活用でインバウンド誘致!」って言うのは簡単ですけど、実際にやるとなると、結構大変なことが多いのも事実です。

まず、お金がかかりますよね。
古い家なので、水回りとか、耐震とか、いろいろ直さないといけない場合が多いです。

それに、旅館業法っていう、宿泊施設をやるための法律があって、その基準をクリアするのもなかなか骨が折れるんです。
「お客さんが安全で快適に泊まれるように、こういう設備を整えてくださいね」っていうルールですね。

さらに、ゲストハウスを始めた後も、掃除とか、予約管理とか、お客さんとのコミュニケーションとか、日々の運営って想像以上にやることがたくさんあります。言葉の壁だってありますしね。

だから、古民家を持っている人からすると、「インバウンドに人気って言われても、うちみたいな普通の家、本当に泊まりたい人なんているのかな?」とか、「そもそも、何から手をつけていいか分からないよ…」って、不安に思う気持ち、すごくよく分かります。

ちょっと考えただけで、ため息が出ちゃうかもしれません。

でもね、ここで少しだけ視点を変えてみるのはどうでしょうか。

もしかしたら、海外の人たちが「穴場」として求めているのは、五つ星ホテルのような完璧さじゃないのかもしれません。

例えば、ちょっとすきま風が入るとか、お風呂が最新式じゃないとか、そういう不便さも含めて、「日本のリアルな暮らし」として面白がってくれる可能性だってあると思うんです。

じっさい日本の小さいお風呂の浴槽に楽しそうに使っている外国人観光客の映像も見たことありますね。

ぼくたち日本人にとっては当たり前の風景でも、海外の人にとっては、すごく新鮮で、心に残る体験になるかもしれないですよね。

彼らが言う「穴場」っていうのは、もしかしたら「誰も知らない秘密の場所」っていう意味だけじゃなくて、「観光客向けに作られていない、素朴で、そこに住む人の生活が感じられる場所」っていうニュアンスも含まれているんじゃないでしょうか。

縁側でスイカを食べたり、地元の小さなお祭りに参加したり、そういう「体験」こそが、彼らにとっての宝物なのかもしれません。

とはいえ、もちろん、誰でも簡単にゲストハウスが始められるわけではありません。

さっき言ったような法律のこともありますし、やっぱり大変なことはたくさんあります。これは間違いありません。

でも、「うちの家なんて、古くて価値がない」って決めつけてしまう前に、「もしかしたら、この古さに価値を感じてくれる人もいるのかも?」って、ほんの少しだけ、可能性を探ってみるのも悪くないんじゃないかなって思うんです。

例えば、まずは試しに、地域のイベントで一日だけ家を開放してみるとか、そういう小さな一歩から始めてみるのもアリかもしれません。

地域の空き家相談窓口とか、ぼくたちみたいな専門家に話を聞いてみるのもいいと思います。

一人で悩まず、誰かと話すだけでも、気持ちが少し楽になったり、新しいアイデアが生まれたりすることもありますから。

というわけで、今日は「古民家ゲストハウスとインバウンド」というテーマについて、ちょっと違った角度から考えてみました。

「古い家=問題」と捉えがちですけど、「古い家=魅力」と感じてくれる人もいる。

そして、その魅力は、必ずしもピカピカにリフォームされたものだけじゃないかもしれない。

そんな風に考えると、空き家問題に対する向き合い方も、少しだけポジティブになれるような気がしませんか?